理想の農園.jpg

 

理想の農園

パネルに和紙、油彩、岩絵の具、水干絵具

2000×3000mm 

2019

画像提供=青森県立美術館 撮影=大西正一

庭には日に日に植物が増えている。青森で出会った農家の方に自家採取した種をもらった。その人の種置き場を尋ねると、いくつもの種類の種が保管してある。昔から大事にされている名前のついている在来野菜の種もあれば、その人が近所のおばあちゃんからもらったという特に名前のついていない種もあった。どちらもただ美味しいから毎年育ててみていると話していた。

翌年の春、自宅の庭にある小さな畑とプランターにその種を蒔いてみた。ほとんど初めての家庭菜園で作った野菜はうまく実らなかったり、かたちがいびつだった。青森でいただいた種は、ササゲや豆類だけでも十種類ほど。それぞれに味や形が異なり、その違いを楽しみながら夏を過ごした。この日々の農業はとてもささやかなものだった。訪れた場所で話を聞いてきたが、今度は身近な植物や家庭菜園の中でそれを探してみたくなった。

種はその後採集して、友人に分けてみた。訪れたまた別の場所で、種を交換したりすることもある。多様な種との出会いは、次はどんなものが芽を出すのかと想像を掻き立ててくれる。