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食べられる植物の系譜
パネルに石膏地、油彩、岩絵の具、水干絵具
2160×1620mm
2018
仙石のコンニャク芋のものがたり
彼女は毎年蒟蒻芋を栽培している。季節の楽しみと、楽しみにしている近所の人たちに手渡すために作っている。彼女の家を訪れる度に調理の知恵をもらい、その時期の料理であたたかく迎え入れてくれる。昨年種芋を譲ってもらった。この夏、家のプランターにも蒟蒻芋の葉っぱが生い茂っていた。
「花が咲いたよ。」
みよこさんから電話が入った。コンニャク芋を育てるには4年の月日が必要で、1年目はまだ小さな種芋、2年目、3年目と少しずつ芋が大きくなっていく。冬の期間は霜が降りない程度にあたたかい日のあたらない場所に保管しておき、春になるとまた芋を植える。芋が大きくなってくると花が咲く。花は最後の年に一度咲くと聞いていた。赤紫色の毒々しさが美しく、鼻につんとくる匂いがする。一週間だけ咲いていた。
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