椿や椿や

パネルに石膏地、油彩、岩絵の具、水干絵具  1620×1303mm  

2016

 

椿のくちあけ 

「朴島には共同の搾り機があって、これを島の中でまわしながら使っていたよ。木製のもので、一軒一軒まわして、揚げ物用に油をしぼっていた。」

 

冬が終わるころ、本島よりも少しはやく椿が咲き始める。

浦戸には椿がたくさん植えられていて、秋になるとこの椿の種を拾いあつめて食用の油を作っていた。

 

このように、ひとつの共同体でその土地のものを一斉に収穫するという行為にはどんな意味があるのだろう。

 

「口開け」というものがある。女性たちが集団で食材となるものを拾いにいくことだ。海女はアワビの口開け、山間部では栃の実の口開け、伊豆大島には椿の口開けが存在する。

 

口開けはその土地土地の季節の移ろいを象徴するもの。

生活に必要不可欠でもあり、土地のみんなで「旬」を楽しむものでもある。

拾ったものの収穫量にばらつきがあっても、全員に平等に分配される。

 

椿の種が落ちる頃、島はどんな様子だったのだろうか。

 

絵の中には、おばあさん、若い女性、子守りをする母親、様々な世代の女性が登場する。

一つの大きな籠の中に種を拾い集める女性たち。

 

「椿や椿や」は、島で出会ったおばあさんの記憶をもとに描いた作品だ。

浦戸の椿油の文化は途絶えてしまったが、記憶の中には生き続けている。